みぞぐちクリニック BLOG

2015年3月 1日 日曜日

花粉症にケナコルトの筋注一発!・・・ってどうなのか??

今日から3月。強烈な寒さはなくなったようです。
でも、花粉症のみなさんにはいやな季節が始まりました。

私自身は、まったくアレルギー性鼻炎がないので大丈夫なのですが、定期受診の患者さんから「先生、花粉症の薬も一緒にお願いします。」と依頼されることが多くなりました。

例年は市販薬で何とかしのいでいた人も、薬代を考えると診察を受けて抗ヒスタミン薬をもらったほうがお安くなると知って、来院の手間はあるものの、クリニックでの処方を希望されるようになっています。
最近はジェネリック医薬品もあるので、さらに安価になります。

ただし、抗ヒスタミン薬(正規品ではアレグラ、タリオン、アレロック、クラリチンなど)は有効率60%前後です。
どの薬も10人中4~5人は効きません。

長く飲んでいるとそのうちに効いてくる、なんてことはありませんので、最初の1週間ぐらいで効果判定し、有効ならば継続、無効なら他剤に変更するのが、望ましいと思います。

内服はある程度効くけど、もう少し、というなら点鼻薬を追加することもあります。
水のような鼻水なら、抗ヒスタミン薬の点鼻で(リボスチン、パタノールなど)。
鼻閉ならステロイド入りの点鼻で(アラミスト、フルナーゼなど)

眠気を嫌うなら、漢方薬という手もあります。
まずは小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。
ただし、持続時間が短い印象がありますので、ツムラ製品ならば一日3回は飲まないと満足できないでしょう。

苦味は強いですが、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)という漢方もあります。
軽度に垂れる鼻水ならば、小青竜湯の裏処方である苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)もありです。
これは麻黄が入ってないので、胃腸虚弱者や高齢の方には適しています。

変わったところで、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)+五苓散(ごれいさん)というのもあります。
水毒(頭痛、下腿浮腫など)と胃腸障害(胃のつかえ感など)のある方には効果が期待できます。


そして、写真の「ケナコルト」というステロイド筋注する治療もあります。
一回40mgぐらいを筋注すると、約1か月ぐらい効果が持続します。
有効率は95%だそうです。
投与量の多少にもよるでしょうが、かなり効きますね。

「筋肉注射で花粉症が治った!」と患者さんがおっしゃるときは、まず間違いなく、この持続性ステロイドである「ケナコルト」を筋注されています。

京都のあるクリニックだったでしょうか?このケナコルトの注射のために、患者さんがわんさか押し寄せて、春先には交通整理のおっちゃんまで雇うような状況になるそうです。
うわさがうわさをよんで、大阪から通っている人もいるようです。

実は日本全国どこでも手に入るものなんですが・・・・

但し、この治療には賛否両論があります。

中身が「長期に持続するステロイド」ですから、結局はステロイドを毎日飲んでいるようなものなので、それなりの注意が必要です。(ケナコルト40mg筋注で、プレドニゾロン15mgを2~3週間内服するのと同等の血中濃度になる)

糖尿病悪化、副腎皮質の機能低下、顔が膨れる(満月様顔貌)、月経異常、皮下出血、感染症になりやすい、などなど、一般的に言われているステロイドホルモンによる副作用に注意する必要があります。

ただし、頻度的には満月様顔貌と月経異常は3~4%と多いものの、その他は0.1~1.0%と少なめではあります。

取り返しのつかない副作用というのは、そうそう出現しないという見方もありますので、そのスタンスに立てば、有効率が95%の素晴らしい治療ということになります。

「花粉症ごときに、ステロイドなんてキョウレツな薬を使うなんて!!」というスタンスに立てば、この治療は過剰医療ということになります。

とはいうもの、ケナコルトの適応症に「アレルギー性鼻炎」とありますので、ちゃんと健康保険適応なんです。

ただし、厚生労働省があまり積極的な使用を勧めていないこともあって、ケナコルトを使用しない医師が多いというのが現状です。

「もう、この花粉症、どうにかしてくれっ!」というくらい辛い方には、少々のリスクは覚悟の上で受けて頂いてもよいのかな、と私自身は思います。(当院では、希望される方には、リスクを説明の上で投与を考慮します。)

アトピーの治療を同じで、「ステロイドなんてダメだ!」と頭から否定しなくても、使い方に気を付ければ効果的だと思います。

ちなみに、この「ケナコルト」、少量(総量5mg程度)の局所皮下注で「円形脱毛症」の治療にも使います。
これはガイドラインにも記載されている有効な治療です。(当院でも行ってます。)


どんな治療でもそうですが、リスクがある治療はあらかじめ患者さんに説明が必要です。

そうした上で、
リスクを極端に恐れず、適正使用し、副作用の発現に注意し、患者さんにベストの結果を提供する」

これ、当たり前ですが、医師の役目だと思います。









 


 

投稿者 みぞぐちクリニック