9月7日の日曜日、大阪は晴天。
なんとなく残暑が感じられ、じんわりと暑い1日でしたね。

9月に入ってすぐに、カルテナンバーが通算3000番を越えました。
開業から1年足らずの間に、非常に多くの方々にみぞぐちクリニックを訪れていただきました。
感謝、感謝、また感謝です。

「ありがとう」のお言葉を何度も頂きました。
その一方で、治療の効果が出ず、去っていかれた患者様もいらっしゃいます。
医療の不確実性は重々承知していますが、悔しい思いでいっぱいになることもあります。
治療効果の確率を高めて、皆様のお役に立てるよう、日々勉強、勉強、また勉強であります。

さて、今日は、意外に知らない「造血剤」のお話です。

貧血の時には「造血剤」を処方しますが、これは「鉄剤」であることはみなさんご存知のことと思います。

ところがこの「鉄剤」に含有する鉄には、「ヘム鉄」「非ヘム鉄」があることをご存知の方は少ないのではないでしょうか?

この2つの鉄の大きな違いは、吸収率と消化管への影響の2点です。

消化管からの吸収率では、ヘム鉄は非ヘム鉄の5~6倍(日本人のデータでは、ヘム鉄25%VS非ヘム鉄5%)と言われています。
また消化管への影響では、非ヘム鉄は細胞内に取り込まれる際に、3価から2価への鉄となるのですが、この2価のむき出しの鉄が「むかつき」の原因となります。
一方ヘム鉄は、ポルフィリンと複合体をつくるため、そのような胃腸障害を起こしません。過剰摂取も起こりにくいと言われています。

さて、医療機関における保険診療で処方可能な経口鉄剤は以下のごとくです。
(※治療に使用する1日の常用量100mgで値段を比較)

①フェロミア50mg/錠(20.4円/100mg
②フェロ・グラデュメット105mg/錠(17.5円/100mg
③インクレミンシロップ5%(101.7円/100mg

残念なことに、このいずれもが「非ヘム鉄」なのです。
つまり吸収が悪く、胃腸障害をきたしやすいものしか、医療機関では処方できないのです。

インクレミンシロップは他の錠剤に比較して、むかつきは少ない印象がありますが、ご覧のように薬の値段が少々高めです。
(とはいっても、3割負担の方では処方料などを含めても1か月分で1500~2000円ですが・・・)

そして「ヘム鉄」となると、市販されているサプリメントに頼らざるを得ないわけですが、インターネットで検索してみると以下の「ヘム鉄」が上がってきました。
(※治療に要する非ヘム鉄100mg/日に相当するヘム鉄を20mg/日として値段を比較)

①DHC「ヘム鉄」(5mg/錠、約5.8円/錠⇒約23円/20mg
②アサヒ「ディアナチュラ ヘム鉄」(3mg/錠、約23円/錠⇒約160円/20mg
③フジテックス「ワカサプリ ヘム鉄」(3mg/錠、約36円/錠⇒約250円/20mg

結構、各社で違うものですね。

結局のところ、健康保険を使えば比較的安く済みますが、「非ヘム鉄」なので飲めない方もいます。
市販のサプリを買えば簡単に「ヘム鉄」が手に入りますが、治療に使う高用量を摂ろうとするとお値段は高くなります。
DHCはかなり安いようですが、理由は不明です。。。ワカササプリは、造血に必要なビタミンB6、銅、モリブデン、パントテン酸などが微量ながら含まれているので少々お高くなっているようです。

気を付けなければいけないことは、鉄剤の過剰な摂取です。
肝臓に鉄が蓄積すると、「ヘモジデローシス」と呼ばれる肝臓障害を引き起こします。
ですから、貧血の治療をする際は、医療機関で採血をして、血中に存在する「血清鉄」と細胞内の貯蔵鉄である「フェリチン」の双方ともに過不足ないこと確認しながら、鉄剤の内服量および期間を調整するのが安全です。

以上、意外と知らない鉄剤のお話でした。

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