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小児科

大学病院や総合病院の小児科とファミリークリニックの小児科では、扱う疾患が大きくことなります。我々が診療する子供さんの多くは、かぜ症候群や感染性胃腸炎などの急性疾患がほとんどです。他方、慢性疾患では気管支喘息やアトピー性皮膚炎のコントロールも担当します。

かぜ症候群

かぜ症候群

小児の場合、まず鼻水と咳と発熱が症状のメインとなることが多く、基本的には対症療法となります。

ただし初期には透明であった鼻水も時間経過とともに黄色や緑色に変化して、咳もひどくなることもしばしばです。この場合、鼻汁の吸引とネブライザーに追加して抗生剤を加えることがほとんどですが、実はウイルス性であっても膿性鼻汁や膿性痰がでます。よって、すべてのケースで抗生物質が必要というわけではありませんが、それを100%見分けるのは専門医でもかなり困難なことが多いため、ほとんどの小児科医、耳鼻咽喉科医は抗生剤を処方する傾向にあります。

私のスタンスは、風邪の超急性期は「麻黄湯」プラス西洋薬の対症療法で行い、3~4日経ってこじれてくると抗生剤を加えます。もちろん、初期の段階でマイコプラズマ感染や溶連菌感染などの細菌感染はしっかりと鑑別しなければなりません。
キプレス、シングレアなどのロイコトリエン拮抗薬は、夜間の咳などに効果的ですが、患児により相性がはっきりしているため、過去に使用経験がないか必ず聞くようにしています。気管支拡張作用によって咳止め効果を期待できるホクナリンテープなども同様で、効果のあるなしが比較的はっきりしています。

一般的な西洋薬の咳止めが効かない場合は、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」「神秘湯(しんぴとう)」「五虎湯(ごことう)」などを使います。3歳ぐらいのお子さんであれば、意外によく飲んでくれます。

感染性胃腸炎

夏も冬も胃腸炎は患者さんが出始めると一挙に増えてきます。子供さんから親御さんへ感染が広がって、家族中が嘔吐・下痢で苦しむこともしばしばありますので、油断なりません。西洋医学的な治療としては、吐き気止めシロップや坐薬に整腸剤が処方されることが多く、高度の脱水があれば点滴なども考慮します。

漢方薬では、嘔吐が強ければ「五苓散」、さらに発熱が強ければ「柴苓湯」、下痢と腹痛が主体ならば「小建中湯」が処方されます。普段は飲めない苦みのある漢方薬も、体が要求するときは不思議と飲んでくれます。嘔吐が強くて口から飲めない場合は、「五苓散」を直接腸内に注入したり、坐薬にしたものを挿肛することがあります。この「五苓散」の効果は絶大でよほどの重症でない限り、2,3回飲めば症状が軽快します。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、基本的にステロイドをうまく使わなければコントロールが難しいと思います。最近では免疫抑制剤「プロトピック」などが使用されるようになり、特に顔の皮膚症状には効果があります。ステロイドに抵抗のある親御さんもいらっしゃいますが、まずは燃え盛る炎をある程度鎮火させてから、漢方薬で体質改善などの方策をとります。

ただし、ステロイドでもなかなか落ち着かない皮膚炎もありますので、その際は漢方薬で「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」「梔子柏皮湯(ししはくひとう)」「治頭瘡一方(ぢずそういっぽう)」「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」「消風散(しょうふうさん)」「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などを、個々の皮膚状態に合わせて併用します。
体質改善を狙うには、「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」「柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)」「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」などを長期に飲んでもらいます。

特に「柴胡清肝湯」は、腺病体質と呼ばれる「風邪をひきやすい体質」を改善してくれる働きもあります。

気管支ぜんそく

気管支ぜんそく

オノン、キプレス、シングレアなどのロイコトリエン拮抗薬でコントロールできているお子さんも多いのですが、発作のコントロールがなかなかできないケースもあります。成人と同様に吸入ステロイドを使用することで安定化を図ります。長時間作用型で一日一回の吸入で済む吸入ステロイドを「スペーサー」と呼ばれる吸入補助器具を使って、十分に吸入してもらいます。

漢方治療では、発作のない時期には「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」や「柴朴湯(さいぼくとう)」で発作を予防し、発作時には「五虎湯(ごことう)」や「神秘湯(しんぴとう)」で発作を抑えに行きます。従来からあるインタールとメプチンの吸入も併用します。
「柴胡清肝湯」や「柴胡桂枝湯」を長期間内服し、咽頭、気管支粘膜を強くすることによって、感冒時にぜんそく発作が誘発されるのを防ぐことができます。

以上、代表的な小児科疾患を挙げました。小児疾患にも漢方治療が有効であることが多く、小さいころから漢方に慣れていると治療のバリエーションが増えます。

あとは、いかにおいしく漢方薬を飲んでもらうことにつきます。

漢方薬単独で飲んでもらうより、お湯に溶かしてお砂糖やはちみつを加えたり、市販の甘いレモンティー(午後の紅茶)などに直接混ぜて電子レンジで温めるとおいしく飲めます。苦い漢方薬にはチョコレートソースを加えてみても良い感じになります。ご家庭でいろいろ試してみましょう。治療には、親御さんの熱意も非常に大切ですね。