今日は、ツムラさん主催の「漢方ステップアップ講座」に参加してきました。


講師は、山口県で開業されている稲本善人(いなもと よしひと)先生でした。

先生の講義は以前に一度聞かせてもらったのですが、まさに目からウロコが落ちるような内容でしたので、今回も楽しみにしていました。

前半は、漢方診療の基本である「腹診」の講義です。
診断には重要なものですが、意外にこれがキチンとできてないことが多いのです。

写真は「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」といって、「柴胡剤」使用の目標になる所見をとっているところです。
私は、今までは3本の指をつかって所見をとっていたのですが、親指1本で探っていく方がわかりやすくとりやすいことに気づかせていただきました。

「柴胡剤」の代表的なものには、
大柴胡湯(だいさいことう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
四逆散(しぎゃくさん)
小柴胡湯(しょうさいことう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
などがありますが、どの漢方薬を選ぶかは「胸脇苦満」の程度にもよります。

私は柴胡加竜骨牡蛎湯と柴胡桂枝乾姜湯は非常に多く処方します。
「柴胡」は「こころ」に効く生薬です。
「心の疲れた」患者さんに頻用します。

それから、右鼡径部に「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」の目途となる圧痛点が存在することは初めて知りました。
これまでは患者さんの訴えだけで選んでましたが、この圧痛点も非常に参考になりそうです。

後半は難治性皮膚疾患に対する漢方治療の講義でした。
これは、前回の内容とほぼ同じでしたが、あらためて知識の整理ができました。

今回の漢方薬のセレクトのポイントは、
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
四物湯(しもつとう)
温清飲(うんせいいん)
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
桂枝加黄耆湯(おうれんげどくとう)
などを、組み合わせること。

ただし、これだけでは治らないことも多いので、、、、
①荊芥(けいがい)
②連翹(れんぎょう)
③撲樕(ぼくそく)
④石膏(せっこう)
⑤阿膠(あきょう)
などの生薬を加えること。

さらに難治例には「紫根牡蠣湯(しこんぼれいとう)+茵チン蒿湯(いんちんこうとう)+荊芥、連翹をトライしてみること。

ただし、残念ながら「紫根牡蛎湯」はエキス製剤としては保険収載されていないので、個々の生薬を組み合わせて処方しなくてはなりません。

紫根牡蛎湯=当帰5+川キュウ3+芍薬3+黄耆2+甘草1+大黄0.5+忍冬1.5+升麻1+紫根3+牡蠣4

ただし、これだけのために個々の生薬をストックしてもらい、そのつど調整してもらうのは院外薬局さんには相当負担かもしれません。。。。

ですが、当院にも難治性皮膚病の患者さんが何人かいらっしゃいますので、何とか処方できるようにしたいと思います。

無理ならば、自費診療として販売も考慮します。

う~む、いろんな意味でハードル高い。。。。

 



 

医療法人癒美会